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 ジム・ジャームッシュ『デッドマン』 (1995 米)


 高校生の頃にこの映画を観てたら、本屋にすっ飛んで行ってブレイク詩集 (岩波文庫)を買うてたんだろうな。ぅ~~ん、いまの時代、「詩」ってもんでもなくて、「歌詞」であってもね、なんかちょっとさみしい。はたして、この映画でウィリアム・ブレイクにたどりつくのがどれだけいることやら。せめてWIKIくらい調べろよね(ほら、リンクしといたったで(^。^;))。世の中、こんなに便利で、簡単に情報が得られるんだから。と、偉そうなこと言うてますが、ボクだって、ウィリアム・ブレイクのことはほとんど知らない。なぜか、抜け落ちている。だからちゃんと最低wikiですよ。そしたら、どうよ、ジャームッシュがこのようにオマージュとも言える映画をつくっても当たり前でしょ。あぁ、ウィリアム・ブレイクをもっと知って観てたら3倍はおもしろいだろうな。
 はてさて、同姓同名のウィリアム・ブレイク(ジョニー・デップ) 、殺人の罪でおたずね者になっていく。いわゆる典型的な「まきこまれ劇」。あ、最初はほんとに殺っちゃってんですよね、いちおう正当防衛だけど、その殺られた男の父親(ロバート・ミッチャム)が、その意趣返しに3人の殺し屋(ランス・ヘンリクセン, マイケル・ウィンコット, ユージン・バード)を放つわけです。で、その逃亡の間に、ジョニー・デップはどんどん殺して行く。すると、その殺しもどんどん板についてくる。
 映画の常套手段として、一人の死を描くのに、その影で何人も死なせるほうがその死に重みを持たせることが出来る。だから、出演者をすべて殺す、あるいは死なせて主人公を最後に死なせる....ほら、『タイタニック』がその最たるものでしょ。この『デッドマン』も同じように、ウィリアム・ブレイクの死を描くのに、ブレイク自身が何人も殺す。あ、殺し屋同士で殺すってのもあったか。ちょっと殺しが多いな、こんだけ殺すこともないなとは思うんだけど、ま、いっか(-。-;) あのね、ボクはこのウィリアム・ブレイクは最初から死んでんじゃないかという気がする。いわゆる死後の世界をみせてんじゃないかと感じるわけ。というのは、ジャームッシュの映画って、ロード・ムービーというか、ほとんどロケのように思える。ところがこの『デッドマン』はほとんどすべてのシーンがセットなんじゃないかと、いや、ボクはそのスジの専門家じゃないから、それはどうだか知りませんよ。例えば、『ダウン・バイ・ロー』でもたぶんセットだおうけれど、それでもそれはセットに思えない。とても気のせいのようなことばかり書いていますが、ジャームッシュの他のモノクロの映画にくらべて、この『デッドマン』の映像は黒が黒い。は?いや、黒がね、ほかのでは222222なのに、これは000000なんて言うてもわかりませんか(-。-;) とにかく黒がいちだんと濃いのです。そのように描かれた死後の世界を、200年も前に死んでいるウィリアム・ブレイクが人を殺していく。が、その殺される人間も、実はもうすでに死んでいる。あ、ネイティブ・インディアンのノーバディ(ゲイリー・ファーマー) こいつだけは、現実に生きてるのかと、いや、やっぱりこいつも映画の中で死んでいることにしてもらおう(-。-;) と、勝手な解釈です。
 をっと、ニール・ヤングのこともいちおう書かないとダメっすか(^。^;) 即興で弾いてるらしいです。あ、それって、カサベテスの「アメリカの影」ね。でもこのギターはけっこう催眠効果ありです。ヤバい。
最後に一言言わせろ。ラストの最後に生き残った刺客(ランス・ヘンリクセン)が、ウィリアム・ブレイクを殺りにくるくだり、あれはいらねぇ。削除シーン(DVDのおまけ映像)で十分。殺し屋の最後の一人はどうなったんだろと一瞬思ったのだが、あんなのを挿しはさむより、一気に補陀落でいってしまってほしかった。
いろいろ仕掛けがいっぱいありそうで楽しめる。もうちっとブレイクを勉強してからもっぺん観ような。

  

VieGouttes d'eau sur pierres brulantes  2:01
監督 ジム・ジャームッシュ
製作 デメトラ・J・マクブライド
脚本 ジム・ジャームッシュ
撮影 ロビー・ミューラー
編集 ジェイ・ラビノウィッツ
音楽 ニール・ヤング
出演 ジョニー・デップ / ロバート・ミッチャム / ミリー・アヴィタル / ゲイリー・ファーマー / ランス・ヘンリクセン / マイケル・ウィンコット / ユージン・バード / イギー・ポップ
★★★★



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